〈2022年6月下旬〜7月12日〉
【基本設定】
名前 | デリック(Derick Wong) |
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居住地 | オフショア プラットホーム(自宅は英国マンチェスター) |
国籍 | 英国(移住 韓国人) |
職業 | オイルリグ エンジニア |
年齢 | 45才 |
家族 | ひとりっ子で両親は幼い頃に他界 |
最初のアプローチ | インスタグラムDM |
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利用チャットアプリ | LINE |
詐欺手段 | iTunesカード |
【Case1】のジョナサンとのことが終わって数日後、私のインスタグラムのアカウントのひとつにまたDMが届きました。
彼のアカウントを見ると、色白なアジア系の男性がオシャレなカフェでお茶をしたり、ブランドショップで買い物をしていたり、スポーツジムでトレーニングしている写真が投稿されていました。
インスタグラムのDMで簡単なやり取りをした後、LINEへ誘われてそちらで話をすることになりました。
彼は韓国生まれで、子供の頃に両親と英国マンチェスターへ移住しましたが、両親は事故で他界し、英国にいた叔父さんに引き取られたと言いました。
その叔父も他界し、マンチェスターに2軒ある自宅のうちひとつは慈善団体に寄付したそうです。
最初、私はオイルリグがわからず、ネットで調べてようやく理解しました。
何度かのやり取りの後、彼は石油掘削会社の技術者として大西洋の海上(オフショア)にあるプラットフォームで働いている(という設定である)ことがわかりました。
本物のオイルリグ・ワーカーはほぼ妻帯者であることと激務のため、ネット上で相手探しをしていることはまずないそうです。
この時点で詐欺を疑いましょう。
彼は会社との契約で、すでに8ヶ月もプラットフォームにある居住区で生活をし、仕事が終わると部屋に戻るけれど、限られたエリアでしか生活できないので楽しみがない、早く契約期間を終えて戻りたい、と話しました。
彼はきっと詐欺なんだろうな、と思いつつ毎日いろいろな話をしていましたが、詐欺につながるようなことは言い出さず。
この人どうするつもりなんだろう?
彼がそう言うようになってきた頃、私はちょっと焦ってきました。
だって、最初からアヤシイと思っていたので、私は30代の独身OLということにしていたのですものw
彼が詐欺でなくて、本当に日本に来たらオバサンだとバレちゃうじゃないの💦
ちょうどコロナ禍で、日本はまだ海外からの観光客は受け入れていない時期だったので、まだ日本には入れないことを彼に話しました。
お金の心配はしなくていいよ。キミのためにお金を使いたいんだ。
僕はキミを女王様のように贅沢をさせてあげるよ!キミの車も買い替えたらいいよ!
ヤバい。万が一本当に会うことになった時のために備えねば。。
そんな思いもあって、私はダイエットを決意😅「シミ、しわ、たるみ」に効く化粧品やエクササイズを調べまくりw
(おかげで半年で5kgのダイエットに成功。さらなるダイエットを目指して現在継続中😅)
僕はサプライズを考えているんだ。受け入れてくれる?
ホントやめて!!
海外にいるように見せかけて、実は国内の詐欺グループだったりする可能性もありますし、何か贈り物をしたいと言われても、こちらの住所など個人情報を教えるのはキケンです。
ということで、服や靴は海外のサイズは合わないし、今は欲しい物はないから、と丁重にお断りしました😅
その後も毎日だいたい同じ時間帯にやり取りしていて、デリックとの会話は楽しかったのですが、私が前にもしたことのある質問をすると、時々イライラした口調で「前に言っただろ?キミは忘れたのか?」とか、愚痴を言うと「またかよ」というようなことも言うことがありました。
時差はあるものの、仕事中のはずの時間にメッセージが来た時に「仕事中なのに、メールしてて大丈夫なの?」と聞くと「今は会社からのEメールに返信しているから、大丈夫だよ。」と言いました。
彼のいる現地では夜中の3時くらいのハズなのにメッセージが届き、「そちらは夜中なのにどうしたの?」と言うと、「仕事のメール返信をしているんだ。」と言うこともありました。
ある日彼からLINEのメッセージが届き、後で返信しようと思って数分後にスマホの画面を見たら、彼のLINEアカウントが削除されたような表示が出ていました。
なにかあったのかな?と思ってしばらくしてインスタグラムのDMを見たら、彼から何度か不在着信があったもよう。
驚いて「どうしたの??」とメッセージしたところ、「LINEのパスワードを忘れた」との返事。詳細は語らず。
それから彼は急にLINEで電話をかけてくることがありました。
「これからシャワーを浴びてくるから後でね。」とメッセージを送ると、すぐに「僕もキミと一緒にシャワー浴びるよ!」と返信があり、直後に電話がかかってくることもあって驚かされたこともたびたびありました。
もし相手が詐欺でなければ、電話で海外にいる人と気軽に話ができたら楽しいだろうなぁ。。という思いもあり、学生時代で終わっていた英語を学び直して会話ができるようになりたい!と考えるようになりました。
(そう簡単なことではないので、現在も模索しながら勉強中です)
ある日、何の前ぶれもなく突然こんな画像を送ってきました。
どうやら彼名義(の設定)の銀行口座のようなのですが、残高金額が「£5,189,100」と表示が。。
(当時1£=146円くらい)
何度も計算し直して目を疑い、「急にどうしたの??」と聞くと
キミの口座も見せてくれる?
それにしてもその残高金額はあり得るのか。。?
と言うと、彼は「そうか、わかったよ。」とすぐ引き下がりました。
それよりも! オイルリグ・ワーカーは実際にそんな金額の給料をもらっているものなのか!?
彼は「僕たちのいるブラックシャークはとても頑丈にできているから、嵐が来ても心配ないんだ。」と言ったことがありました。
ブラックシャークというのは、ある海上プラットフォームの通称です。そこから検索してブラックシャークを所有している企業を調べてみました。
「Scientific Drilling International」という米国のヒューストンに本社がある企業です。
気になったので、(海外サイトですが)実在するこのオイルリグ企業の求人情報を調べてみました。
職種にもよって幅はありますが、オイルリグ・ワーカーは短期間で相当稼いでいることを知って驚きました。
デリックは、もう何年も契約を更新しながらオイルリグで働いていると言っていました。
そして、彼は「ここ(オフショアのプラットフォーム)にいる間は銀行口座が使えないんだ。滞在している間の生活費は契約が終了した時に、給与から差し引かれるしくみになっているんだ。」と話していました。
ある日。いつもメッセージが届く時間にも音沙汰がなく、丸1日彼から連絡がない日がありました。
なんだろう?とモヤモヤしていましたが、翌日夜になって「ネットが使えなくなっていて連絡ができなかった。ようやく復旧したよ。」メッセージが送られてきました。
日本でもauのネット回線がダウンしたりしていた時期とも重なっていたため、あまり不思議にも思わなかったのですが。
数日後、「もうカードを使い切ってしまう。キミに連絡できなくなるかもしれない。」と言ってきました。わけがわからず。
だからキミに連絡できなくなりそうなんだ。
銀行口座は今使えないし、他に頼める人がいないんだ。
こんなに時間かけて、ソレ?!
がっかりだよーーー!!
どんな詐欺を言ってくるかと思っていたら、チンケすぎやしないか!!?
今どき、iTunesカード詐欺かよ!?
イライラをグッと飲み込みました。
愛してるよ。
そして、翌日。
100$のカードを買ってね。
そんな詐欺、流行っているのか??またネットで調べてみました。
検索バーに「oil rig scammer」「oil rig scam」などと入力すると、出るわ出るわ。。
詐欺グループの詐欺師たちはアフリカ(ナイジェリアやガーナなど)にいて、オイルリグ・ワーカーのフリをしてターゲットにお金などを送らせる詐欺がヨーロッパやアメリカを中心に横行しています。
【オイルリグ・ワーカーを装った詐欺に多い手口】
⚫︎ なにかトラブル(怪我や病気の治療費、事故の修理代、陸地へ戻るためのヘリコプター費用など)があり、銀行口座が使えないことを理由に、現金やiTunesカードやSteamカード、ギフトカードなどを要求する。
⚫︎ オイルリグでの契約期間終了後、陸地へ戻るが、近くの街には銀行がなくてお金が出金できないということを理由に、一時的な立て替え金を要求する。
⚫︎ プレゼントを送るフリをして、送った荷物で積み替え港や到着港の関税などで差し押さえられたことにし、当局を装ってその費用を請求して騙し取る。
など。
詐欺に引っかかるつもりはないけど、このまま引き伸ばしていても断るのめんどくさいから、終わりにするかー。
最後のメッセージです。
そして、放置。彼がどうするか見たかったので、少しブロックせずに様子をみてみました。
翌日の朝、何かおかしいことに気づき、慌てて電話してきたようですが
ざんねーーーん。
デリックのLINEとインスタグラムのアカウントをブロックした後に、しばらく後になってから彼のインスタグラムのアカウントをよく見て気づいたのですが👇👇
中東だよね!?
相手がアカウントを公開している場合、または自分がフォローしている場合、アカウントの右上の「・・・」をタップすると、2番目の画像のように「このアカウントについて」というアカウント情報が出てくることがあります。
全部のアカウントにこの情報が出るわけではないようで、怪しいアカウントは公開されるようです。
アカウントの所在地が中東のオマーン。ユーザーネームを17回も変更しているのがわかります。
筋金が入ってるカンジ。どんな組織なんだ💧
これで終わりになったようでしたが、彼にはまたのちに再会することになるとは思いませんでした。
【Case2】おわり。