〈2022年7月23日〜8月5日〉
また今回も、インスタグラムのアカウントにDMが届きました。
【基本設定】
名前 | Li Zexin |
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居住地 | シンガポール(中国から移住) |
職業 | ワインの輸出入会社経営 |
年齢 | 36才 |
家族 | 独身。両親は近くに住んでいる。愛犬はフレンチブルドッグ。 |
最初のアプローチ | インスタグラムのDMから |
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利用チャットアプリ | LINE |
詐欺手段 | 金投資 |
前回[case2]の時とは別のインスタグラムのアカウントにDMが来ましたが、なぜかひとつの案件が終わると、次を待っていたように別のDMがきます。
詐欺グループはかなり大規模で、相当な数の詐欺師がネット上でターゲットを狙っているのは知っていますが、ターゲットとするSNSのアカウントもグループ内で管理されているのでしょうか? それとも偶然??
今回もシンガポール在住の中国人で、数年前に中国から家族と一緒に移住してきたそうです。
日本人にもいそうな顔つきのマッチョ系イケメン。36才。
インスタグラムには、スポーツジムで自撮りしたマッチョな写真や豪華な食事をしている写真、プールで泳いでいる写真が投稿されていました。
いつもながら、簡単なやり取りの後LINEのアカウントを登録して話を始めました。
彼は、シンガポールの東海岸地区に住み、ワインの輸出入をしている商社を経営しているとのこと。
日本食が好きで、自分でも自宅でよく料理をすると言いました。
そして、副業のために金の外貨取引をしています。
今回私の設定は、39才、既婚、子どものいない夫婦ふたり暮らし。
彼は結婚歴はないと言うので、なぜ結婚しなかったのかと聞くと、コロナの感染流行の数年前に、当時つきあっていた女性と室内インテリアの仕事を立ち上げたそうなのですが、事業はうまくいかず倒産したとのこと。
負債を抱えて大変なことになったら、その女性は彼を裏切ってお金を持っている他の男性の方へいってしまったとのこと。
その後、彼は父親のしていた事業の顧客のツテでワインの輸出入の仕事を始め、ようやく最近になってその事業が軌道に乗ってきた。
それは、僕が他に副業として投資をしていたのでその収入があったからこそなんだ、と話ました。
彼は[case1]のジョナサンとよく似たタイプで、マメで誠実な印象でした。
日本や日本食が好きで、犬も好き、仕事帰りにはスポーツジムに寄り、休日には友人とゴルフを楽しみ、夕食後には投資の状況を分析して取引をするという生活(の設定)。
お兄さんタイプの好青年というカンジで、ユーモアもあって楽しいし、私の愚痴を親身に聞いてくれて、毎日マメにメッセージを送ってきます。
そして夜私が寝る前にはたいてい「おやすみ。僕はこれから投資の分析をして取引してからベッドに入るよ。」と言いました。
ある日彼に「今つきあっている女性がいるんじゃないの?」と聞くと、「いや、僕はひとりだよ。今後の人生を一緒に生きていけるような女性になかなか出会わなかったんだ。僕は空いた時間は、副業の投資のために使っているよ。」と話しました。
しばらくいろいろ他愛のない話をやり取りしていましたが、そのうち彼は
僕は今、日本に行く計画を立てている。もしキミに会うことができたら、キミを抱きしめてもいい?
コロナ禍で、まだ日本は海外からの観光客の入国は受け入れていない時期だったので。
それからも、私が夫の愚痴を言うと
そのうち、ひんぱんに私の予定を聞いてくるようになりました。
そして、実家へ行った私は、家族からコロナに感染したことにしました。
夜は時間ある?今夜はいい取引があるんだ。
キミのためにいいプランを用意してあるんだよ。
その後1週間ほど、彼は献身的に体調の悪い私を励まし続けてくれましたw
そして。私の体調がよくなってきたと知らせた途端、彼の猛攻が始まりました。
おおまかな内容はこちら👇
(私) ダーリン、今日はだいぶ体調がいいわ。
(Li) よかった、それを聞いて僕も嬉しいよ。味覚も戻った?
ベイビー、今夜のデータは良好なんだ。金の外国為替の取引にキミを連れていくよ。隔離されている間に、副収入が得られるといいよね。
(私) ダーリン、あなたがそれで稼げるのはいいと思うけど、FXはリスクが高くて簡単じゃないのは知っているわ。私はそれには手を出さないわ。
(Li) もちろんリスクはあるけど、僕の計算と計画でリスクを最小限に抑えるよ。ベイビー、僕を信じて。キミは初めてだから、あまり元本を用意する必要はないんだ。
(私) あなたを疑っているわけじゃないのよ。私には使えるお金がないの。
(Li) キミは多くの資本金を使う必要はないよ。初めて体験する時は5万円(300米ドル以上)の元本を用意してもらって、僕が案内した後に出金すればいいんだ。
(私) でも、私のために他の方法を考えて欲しいの、ダーリン。それに、今夜は友達と通話していたからスマホの電池がもうないの。
(Li) わかっているよ。でもキミのためにやってるんだよ。キミが僕の計画に従うかぎり、損失はないんだよ。ベイビー、まずスマホをチャージして今夜僕と一緒にやろう。
(私) そうね、ダーリン。でも私たちはいつでも一緒にいて、あなたは私に教えることができるわ。急ぐ必要ないわよね。それに、お金は夫が管理しているから、用意するのは簡単じゃないの。
(Li) そうだね、ベイビー。いつでもできるけど、今夜はいい取引ができるんだ。今日はキミの体調もいいから、キミを連れていくよ。
キミの夫はお金を管理しているけど、僕はキミにお金を作らせて小さな金庫を持たせてあげたいんだ。将来キミがお金が必要になった時、夫に頼らずに自分で解決できるんだよ。
(私) あなたの言うことはわかったわ。ありがとう、ダーリン。もうスマホの電池がないから、また後でね。愛しているわ、ダーリン。
(Li) オーケイ、じゃあまずはスマホを充電したら始めよう。
これで終わりにしないといけないのかーー。残念。
彼への最後のメッセージ。
仮想通貨やFX投資の話さえ出さなければ、あなたはとてもいい人です。でも、その話をし始めたら終わります。
あなたは私の前からいなくなってしまうでしょう。
悲しいことです。あなたは誰だったの?
あなたと話せてとても楽しかった。私のことを気にかけてくれてありがとう。
元気でいてね。
最後のキスをあなたへ。
彼の既読がつくのを見届けましたが、その後返信はありませんでした。
その後。
インスタグラムとLINEのアカウントをブロックし、時々インスタグラムをチェックしていましたが、驚いたことに、数日後には彼のアカウントの写真は別人のものに差し替えられていました。
やっぱり詐欺なんじゃーーーん!!
あの時期対応していたターゲットは私だけだったのでしょうか?
【Case3】おわり。